キューバ!!by 空野優子 (2012年11月)
先月キューバへ出かけてきた。キューバというと日本からは観光地としてはあまりなじみないが、トロントからは直行便の飛行機で4時間の距離で、他のカリブ海の国と並んでバケーションの人気スポットである。日本人が常夏の太陽とビーチを求めてハワイに行くのと同じ感覚だろうか。(私はハワイに行ったことがないのでわからないが・・・)
実際、友達や同僚に「今度キューバ行くねん」というと「あーいいねー、ハバナの旧市街はすごいかわいいよ~」「安全な国だけど、くれぐれも水道水は飲まないこと!」「一般の現地の人はお金もないけどそれよりモノがない。だから要らない服とか持っていくとすごく喜ばれるよー」とかみんな行ったことあるようで、いろいろアドバイスをもらった。
今回の旅行のきっかけは、妹のキューバの病院での研修が決まったこと。キューバは国民一人当たりのGDPで測るととても貧しい国だが、医療費は無料で、国民の健康水準も高い。そんなキューバの医療制度を学びに一ヶ月滞在するとのことで、この際私も便乗して一週間お邪魔することにしたのである。
今回訪れたのはキューバ第二の都市サンチアゴ・デ・キューバとそこから4時間ほどバスで北東に上ったバラコアという海辺の町。行き当たりばったりの旅行だったが、とても新鮮な一週間となった。
まず第一の魅力はキューバの人なつっこさ、親切さ、心の豊かさ。キューバが物質的に豊かでないというのは本当で、タクシーもまず日本では廃車同然の車ばかり 走っているし (まず一般の人は車を所有していない)、修理が必要な建物もほったらかしにされていることが多い。妹の話によると、キューバの医者の平均月収は2000円くらいだそうで、観光業に従事している一部の人をのぞくと、みんな最低限のモノで暮らしている様子。
にもかかわらず、タイ、インド、ベトナムで経験したように子どもが観光客相手に物乞いしたりモノを売っていることはなかったし、大阪やトロントでは見慣れてしまっているホームレスと思われる人にも会うことはなかった。町を歩いていると、いたるところで「チーノ(中国)?ハポン(日本)?」と声をかけられ、ちょっと話を始めるととても陽気でおしゃべりな人が多い。そして困っているとなんでもすぐに助けてくれた。
そして歴史。今回訪れたのはキューバ東部で、ヨーロッパ人が初期に入植し、アメリカに近い西部のハバナより早くに発展した地域である。コロンブスが1512年にやってきたというバラコア、ハイチ革命のときに奴隷を連れて亡命してきたフランス人が開いたコーヒー農園、キューバ革命の始まったサンチアゴなど、興味深い見所がいくつもある。夜に浜辺を散歩しながら、「あーここに500年前コロンブスがやってきてなかったら、、、」なんて思いをめぐらしたりするのも旅ならではのこと・・・
加えて音楽とダンス♪♪♪ラテン音楽とアフロ・カリビアン音楽が融合したサルサ、ソン、レゲイトン、などの音楽が、昼間も夜もいろんなレストラン、広場、そして個人の家から聞こえてきた。3歳くらいの子どもも大人の見よう見まねでおしりをふって踊ってたりして、音楽とダンスはこの地の生活に根付いている様子。
今回は短期の滞在で、キューバの人の生活のほんの一部を垣間見たに過ぎないが、物質社会に慣れきった私にとっては、苦労しながらも心豊かに生きている人たちに出会って、心が軽くなったというか、とてもいい刺激を受けた。ちなみに私は同僚のススメにしたがって半信半疑ながらもキャリーケース一個分、古着を持っていって妹に託したのだが、なんでもあっという間にみんな喜んで引き取ってくれたらしい。
日本からは少し遠いけれど、キューバ、魅力いっぱいの国である。またぜひ訪れてみたい。
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