35歳からの「英語やり直し」勉強法 by サンダース宮松敬子 (2012年12月)

著者の経験が説得力を増す
日本の本屋に並ぶ英語本の多さには、誰しも一度や二度驚いた経験を持っていることでしょう。いわく「日本人のちょっとヘンな英語」「一駅一題 新TOEIC TEST 単語特急」「英会話一日一パターーン」などなど・・・。これは取りも直さず、日本人の英語熱がいつの時代も衰えを見せていないということに他なりません。

これほど品揃えがあれば、自分の目的にあった本を選び出すことは容易と思われますが、数が多いだけに、返って惑うということは大いにありえます。

そんな中でこの秋に出版されて大きな反響を呼んでいるのが表題の本です。
筆者はカナダ・トロント在住に17年になる翻訳家で、今まさに第一線で活躍している女性です。しかし、帰国子女などではないため、子供のころから英語社会に身を置いて、自然に習得して英語の達人になったわけではありません。

そうなるまでに著者自身も、苦労した経験があることがそこここに書かれています。それゆえに「真剣に勉強したい人」「すでに何度か挑戦したが失敗した人」たちに大変な説得力を持っているのでしょう。
また著者の夫はドイツからの移住者で、職場や日常生活で何不自由なく流暢な英語を操るものの、ほんの小さな部分ながら、彼にも「英語のネイティブならこうは言わない」という点などがあるようです。それがまた彼女の英語学習の刺激になっているのでしょう。

そ うした環境に加え、マルティカルチャーリズム(多様文化主義)が国策のカナダに住んでいることで、世界各国から移住してきた人が英語(ケベック州などのフ ランス語圏では仏語だが、トロントでは英語が中心)と言う共通語によって結ばれていることなどが、この本を書くに当たりプラスに働き、彼女の「外国人とし ての英語学習法」に非常に役立っていると思われます。

本書の狙い
著者は本書の狙いを以下のように定めています:
① 今の自分と英語の関係を明確にする
② 自分にとって必要な英語を知り、目標を定める
③ 目標に対し、自分に欠けている部分を知る
④ 欠けている部分と目標を考え、今の能力、生活、性格にあった勉強法を取り入れる

そして各章は以下のようになっています。
第一章 「自分と英語との関係」を見直そう
第二章 使える英語を伸ばすために絶対に知っておきたいこと
第三章 あなたが「目指す英語」はコレ
第四章 英語の実践力がぐんぐん伸びる学習法
第五章 大人のためのオリジナル自習法
それぞれの章で、自分の体験的な学習術、経験豊かな英語教師法から来るハウツーをこまめにまとめています。

しかし、けっして甘い言葉では決して誘っていません。はっきりと「語学学習に王道はなく、道のりは決して短くありません。そして死ぬまで終点もありません」と書いています。
一度英語を勉強した者には、それは充分過ぎるほど分かるのですが、それでもなかなかものにならず途中で投げ出してしまう経験を持っている人は少なくないはずです。

日 本で教育を受けた者なら少なくとも中学・高校で各3年ずつ英語を勉強し、更に大学に行けばそこでも勉強するのです。その時の、いわゆる机上でインプットし た知識としての英語を「バッシブ・イングリッシュ(受動的に入力英語)」とすると、実際に話したり書いたりして運用する英語を「アクティブ・イングリッ シュ(能動的に出力する英語)」として分けられます。
日本人の大人に一番多いのが、このパッシブ段階を一度終えていながら、その技能をアクティブに応用する練習が不足している状態にある、と著者は指摘します。

日 本で暮らしていれば、確かに学校を終えた後に机上で習った英語の知識を使う機会はほとんどありません。しかしその状況を打破して何とかアクティブ段階に 持って行くには、英語を発する時に頭の中で考えなくても英語が口から出てくるようになる「自動化」練習をする事を薦めています。

「栗とあんこの羊かん(=繰り返し、暗記して、用いて、慣れる)」法

また英語の資格試験であるTOEIC、 TOEFL、英検は、英語をどれだけ理解しているかを測る目安にはなるものの、その英語を「どれだけ運用できるか」を測るには限界があるといいます。

試験では高得点でも、実際に役立てるにはさまざまな工夫が必要なのです。
著者が薦める方法は、教材に音声とそのトランスクリプション(書き起こし)のあるものを選び:
① まずは音声だけを聞く。テキストは見ない
② 音声を聞いてリピートする。テキストはまだ見ない
③ テキストを見て英語を確認する
④ テキストを見ながら英語を繰り返し読む(音読)
⑤ テキストを見ずに、音声を再生。一文ずつ一時停止しながら。宙(そら)で繰り返す
⑥ すべて暗記する
といった学習法を薦めています。
ユニークで面白いのは、著者はこのメソッドを「栗とあんこの羊かん(=繰り返し、暗記して、用いて、慣れる)」と名づけていることです。

しかしどう頑張っても、習い事というものは初期は楽しくても慣れてくると倦怠期が必ず訪れ、この時期に残念ながら8割ほどが脱落するといいます。

そのため使う教材は、自分が「トキメク」ことが出来る題材を選んで英語学習のモチベーションをキープすることも薦めています。つまり自分が好きなものや興味のあるもの、例えば映画やスポーツなどの分野での話題を見つける、と言ったことです。
もちろん、ここに記した事柄は、この本に書かれているほんの一部です。しかし読み込むほどに、ハウツーの工夫が散りばめられており、ライティングやリスニングのアップ、ボキャブラリーの強化などなど、如何に継続して勉強することが大切かを説いています。
何しろ英語学習は「続けて何ぼの世界」ですから、そこを乗り越える努力が何よりも大切と言うわけです。

読者の反響
さて、これを読まれた読者たちからは:
楽しく読めて、大いに共感でき、しかも、「もう一回やってみよう!」とその気にさせてくれる素晴らしい本ですね!!まわりの人にも勧めようと思っています。

先週末に、一気に読ませていただき、とても誠実なメッセージに、大いに励まされました!英語学習にまつわるさまざまな情報でこんがらがった頭がほぐれてくるようでした。真面目な内容の合間にふとあらわれる、著者の飾りのないエピソードには心が和みました。

私が英語の勉強で過去につまずいた、または現在つまずいている部分がありますが、この本にはそれをどう打開していくかが具体的に提示されており、やる気が できました!この本を読むまでは漠然と「できない」「難しい」と思っていただけでしたが、この本は「ではどうすればいいのか?」という実践的な内容が盛り だくさんで、あきらめかけていた気持ちを奮い立たせてくれました。また、ところどころにある4コマ漫画も、思わずうなずきたくなるようなものばかりで面白いです。

今でも巷では、短期間で簡単に英語が習得できる!等とうたった英語教材が数多く出回っていますが、毎日の努力の積み重ねこそが英語習得への近道なのだと、再認識させられた1冊でした。
といった声が著者に届いているようです。

最後に「35歳からの~」と言う表題の年齢ですが、何故その年で区切ったのかとちょっと不思議に思う読者もいることでしょう。

おそらくそれは、楽天やユニクロなど、最近は英語を公用語化した会社が増えていますし、そうした職場で働いている「大人の日本人」などを特に対象にしているのかもしれません。
普通30半ばともなれば、仕事、ライフスタイル、趣味といったものが、ある程度固定して来ていると思われます。そして英語を再度真剣に勉強したいと思っても決して遅い年齢ではないため、そういう人をターゲットにしているのではないかと思われます。
とは言え、25歳でも85歳でも、「英語上達に近道はない」ことを肝に銘じ、真面目に勉強することで上達させることを決心した人には、必ずや役に立つお薦めの一冊と言えます。
トロントでは国際交流基金(Japan Foundation Toronto)の図書館で借りることが出来ますが、個人的に入手するには広瀬直子氏に連絡。

メールアドレス:info@kancommunications.ca

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