日本でようやく婚外子の相続差別が撤廃(・・・するかも) by 斎藤文栄 (2013年9月)

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日本にいる人はご存知だろうが、9月5日、主要各新聞紙の1面には同じ見出しが躍った。「婚外子の相続差別違憲」

日本の最高裁判所が、日本の民法で定めている婚外子の相続分は婚内子(法律婚をした子)の半分と定めた規定を違憲と判断したのだ。

私は今回の裁判の当事者の方を知っているわけではないが、前に同じ裁判をして同じ最高裁で退けられた人を知っている。その人の待っていた長い年月を思うと、この最高裁の判断に胸が熱くなった。

日本社会は婚外子に冷たい。1997年には、そんな日本社会で婚外子を持つシングルマザーが、シングルマザーとして自分の受ける仕事上・社会上の不利益や子どもが婚外子であるため迫害されることを理由として、オーストラリアに「難民」として認められている。いかに日本で婚外子が生きにくいか、この事例からも容易に想像できるだろう。

ただ、時代は確実に変わりつつもある。この判決が出た2週間ほど後、新聞には、従来、結婚暦のあるひとり親家庭にしか認められなかった「寡婦控除」を、未婚のひとり親家庭に「みなし」適用する自治体が増えているとの記事が掲載された。これにより未婚のひとり親家庭の保育料や公営住宅の家賃が他のひとり親家庭並みに減額されることになる。(2013年9月22日朝日新聞)

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親の都合で子どもを差別してよいわけはない

しかし婚姻届を出すか出さないかで、同じひとり親家庭への福祉が異なるとは、なんという非情な社会だろう。法律婚を手厚く保護する日本社会には未だに明治民法の「家」制度があちこちに残っている。今回、違憲判決が出た婚外子の相続差別はまさにその象徴的な差別規定である。

問題は、この判決を受け国会がどう動くかである。日本では、カナダと異なり、最高裁判所で違憲判決が出たからといって法律改正の義務はない。(カナダでは憲法違反と判断された法律は、その効力を失うことが憲法で規定されている。)既に政府内では法改正案の検討を始めたという記事もあるが、懸念は保守的な国会議員による反対だ。

実は、婚外子差別撤廃の規定は、1996年に法制審議会から諮問された民法改正案に含まれており、この改正案が国会を通っていれば17年も前に解決していたはずだった。それが、婚外子の規定を撤廃すると「不倫を助長する」「婚外子がかわいそうであれば遺言を残せばいいのだから規定があってもよい」などという保守派国会議員の屁理屈で法改正が頓挫したままになっていた。噂では、政治家には婚外子が多く、相続分を平等とすると地元で政治活動を仕切っている正妻に顔向けができないとか、自分の政治家だった父親に婚外子がいるために反対しているという政治家がいるとかいないとか・・・。

しかし親(大人)の都合で子どもを差別してよいわけはない。憲法は法の下の平等をうたっているし、国連の人権機関からも再三にわたり勧告を受けている。同様の規定を持つドイツやフランスでは、それぞれ1998年、2001年に撤廃されている。日本は諸外国の動きからも取り残されているのだ。

婚外子差別の撤廃に長年取り組んできた当事者や関係者の方たちの顔を思い浮かべながら、十数年来の遅れを取り戻すべく、一刻も早く国会で民法を改正し婚外子差別規定を廃止してほしいと心から願っている。

参照:「よくわかる民法改正-選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて-」民法改正を考える会編、朝陽会、2010年。

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