いまだ男女格差の激しい日本の女性の社会的地位 by サンダース宮松敬子

しばらく前に、トロントの日本商社に勤めるあるカナダ男性(白人)と、彼の会社が日本から送って来る社内報について面白い会話をした。

記事(英語)は、本社のエキゼクティブたちが、取引先の某大手飲料会社の役員たちを招いて大手町の本社でパーティーを開いたが、丁度その日がボジョレー・ヌーボーが解禁の日と重なったため、仏ワインも供されたとのニュースであった。「当社からはワイン好きな女性社員たちも参加し明るく華やかな雰囲気であった」と書かれている。

彼は「さっと読めば何の違和感もない楽しいイベントのニュースとして読み過ごせるよ」と言いながら、締めくくりの部分を指摘し「これってカナダの会社ならありえないことだ」と苦笑交じりに言う。

この一行によってあたかも「日本女性のビジネス界における地位を垣間見るようだ」と言いたげなのだ。つまり日本の会社には役職の女性がいないため、ワイン好きな女性社員が華やかな雰囲気を出すために参加したと考えられる。加えて、女性社員をそんな目的で駆り出す(?)ことにカナダの女性なら黙ってはいないだろう、というわけだ。

こういうことには比較的敏感な私も、そこまで気が付かなかったことで「敬子らしくないね!」と笑われた。

確かに日本の女性の労働参加率は先進国の中では低く、特に管理職に占める割合はたった1.1%で、欧米の30~40%を大きく下回る。

「何故か?」については、もう耳だこが出来るほど聞かされているが、経済同友会のある女性幹事は「企業や国のマインドセット(考え方)を根本的に変える必要がある」とし、それには女性に対する支援策ばかりではなく「例えば“男性が育児をする権利”をもっと尊重すべきだ」という。

また厚生労働省の調査では、総合職で入社した女性のうち65%が10年後には退職し、これは男性の29%よりずっと多いと指摘する。

と、こんな数字が変わらずに巷に飛び交う中、6月半ばには東京都議会の一般質問で、妊娠や出産に関する都の支援政策を尋ねた塩村文夏都議に 「早く結婚しろ!」「産めないのか!」と男性議員たちからの野次が飛び「セクハラ発言」として世界中にニュースが流された。

塩村あやか議員の公式ウェブサイトより

塩村あやか議員の公式ウェブサイトより

しかし、塩村氏は以前出演したテレビのバラエティー番組で、過去の男性関係に関し破廉恥な発言をしたり、派手な異性関係があるとかで「セクハラ発言」はそれを知る男性議員たちからの揶揄だ、とかの声も聞かれるという。

最初にせっかく彼女を擁護した人たちは肩透かしを食った感があるようだが、一方私的な異性関係と都議会という公の場で個人を揶揄するのは公私混同で「絶対にあるべきではなった」とする人もいて事件の成り行きは不透明だ。

だが同じレベルで言えば、枡添新東京都知事も奔放な女性関係で知られているようだ。2度の離婚暦があり今の夫人は3度目の結婚で子供は2人いるが、他にも別の女性2人の間に婚外子が3人いて合計5人の父親だとか。だが都知事選ではこのことが公には問題にならなかったし、ましてや都議会でそれを暗にほのめかす野次が飛んだとのニュースは聞いていない。

女性を一段下と見る自民党の政治家たちの「女性は産む機械」「集団レイプする人は元気があるからいい」などの過去の発言は今もおぞましい記憶として残っている。後から「悪気はなかった」「ついうっかり」と釈明するが、頭がコチコチで女性軽視の古い体質を持つ政治家たちによるこうしたコメントはこれからも続くであろうと予測する。

こんな「低レベル」の発言がカナダの政治家から聞かれるとは到底思えない。それは「彼らが精錬潔癖だから」などとは決して言わない。ただそんな発言をしたら即政治生命を絶たれることを知っているからなのだ。

それでも時に男性政治家から「そういう意図ではなかった」とする発言を聞くことがある。

最近では、6月初旬カナダ連邦政府のPeter MacKay法務大臣が、ある新聞のインタビューで連邦政府の判事が全体の30%しか占めていないことを指摘され「どうして女性や少数民の判事が少ないか?」と聞かれたのに対し「女性の応募が少数だからで、理由は子育て中の母親は子供から離れるのを望まないから」「幼児期の子供は父親より母親を必要としていることは明らかだ」とコメントし大変なヒンシュクを買った。

「カナダは、オンタリオ州首相がレスビアンであることを公表して当選しているような開かれた社会なのに、今更そんなことを言う連邦法務大臣に『ガッカリ、期待はずれ、不快』だ」との意見が続出した。もちろん「そういう意味ではなった(=女性をそうした視点からだけ見ているわけではない)」と大臣は弁明に大わらわであった。

しかしこれがもし日本なら「ヒンシュクを買う問題」などになっただろうか?

折りしも、7月24日に発表された国連開発計画でも、男女格差の少なさを数値化した「ジェンダー平等指数(HDI)」で、日本は148各国中25位で去年の21位から後退していると発表された。

安倍政権の掲げる「女性の起用」が早々に花開き、数字の上で変化が見られる日が近いことを心より期待したい。

 

 

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