日本人女性に警鐘 ②~カナダでブラック労働、そしてセクハラ

文・広瀬直子     「最低賃金を優に下る低い時給で雇われ、チップはすべてお店に渡さねばならない。店長や客にセクハラすれすれのことをされても黙っているしかない―ビザがないから」

正式な労働許可なしにカナダで「ジャパレス」(=和食レストラン)のウェイトレスをしていた日本人女性のA子さんから筆者が以前に聞いた話である。

カナダのジャパレスには、日本人向けの他の仕事に比べて、ビザのない人を雇う割合だけでなく、ブラック度の高いところがあると言われる(もちろんブラックではないところの方が大多数なのだろうが)。

A子さんは、弱みに付け込まれて嫌な思いをしているのに、なぜ日本に帰らなかったのか?

正式なビザなしで外国にいるということは、日本にいた時に当たり前のように享受していた社会保障を失うという不安定な状態だ。それでもカナダにいたい人がいる。(もちろん、どの国の外国人にもある話だ)。理由は恋愛だったり、日本に帰ったところでどうしていいのかわからない、など非常にプライベートなことが多く、真相は本人にしかわからない。

また、レストランやカフェだけでなく、男性客が日本人女性ホステスとの交流を目的に行くいわゆる夜のお仕事もトロントにはある。クラブの日本人ホステスの労働もやはり、ビザなしの人が働いていることがあったり、ブラック度が高いようだ。

「そういう仕事に就く女性は、高い時給やビザなしで雇ってもらえるということに簡単につられないで。”安全だから”と言われても疑ってかかるように。甘い話はないと考えて行動してほしい」と話してくれたのは、日系人・日本人を対象にしたカウンセリングなどを行っている慈善団体ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)でカウンセラーを務める公家孝典さん。飲食店やクラブでセクハラを受けた日本人女性やその友人からの相談が、2015年には10件(訪問と電話の両方)ほどあり、なかにはレイプ被害に遭ったというケースもあったという。JSSを見つけて相談するという行動に出た女性だけでこの数なのだから、実際になんらかのセクハラ被害を受けた女性の数は相当なはずだ。

セクハラは犯罪として法律に訴えることができるので、警察までいっしょに行きますよとJSSではヘルプを申し出るが、労働ビザなしで働いていたことや、正式に法的に訴えるために名前を出すことに抵抗があるという人が多い。結局、あくどい雇用者のにらんだ通り、最終的には泣き寝入りしてしまうのだ。

冒頭のA子さんが今どこで何をしているのか筆者は知らないが、彼女がこう言ったことだけは強く印象に残っている。「カナダ人の彼氏ができたから絶対にカナダにいたいんだけど、結婚はまだ早いので、不法でもジャパレスで働きながら様子を見ているような感じ」。

このようなリンボー(宙ぶらりんの状態)にハマっている日本人女性は、実はカナダに多々いる。次回の記事では、カナダ人と恋に陥ったために、宙ぶらりんの生活をする日本人女性たちがいることについて書いてみたい。

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