日本人女性に警鐘③~国際婚活・結婚、そして・・・

IMG700441文・広瀬直子

「日本人女性に警鐘」シリーズの最後に、日本人女性とカナダ人男性の国際結婚の闇の部分に照準を当ててみようと思う。今回も、日系人・日本人を対象にしたカウンセリングなどを行っている慈善団体ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)でカウンセラーを務める公家孝典氏の話を引用しながら書くことにする。

18歳から30歳までの日本人の若者に発行されるワーキングホリデービザ(通称「ワーホリ」)を取得してカナダにくる人は年間数千人(ビザ発給対象は1年間6500人)。筆者もトロントの日本人コミュニティーに出没しているので、当然、ワーホリの若者にちょくちょく出会う。どうも女性が多いと思っていたら、年度にもよるそうだが、ワーホリ滞在の若者は、実際に男性が2,3割、女性が7,8割ということである。

この中に、国際婚活にくる女性達がいるのをご存じだろうか。統計に現れる数字ではないが、筆者自身、「日本人女性は海外でモテモテ」だと聞き、彼氏を作ることを多いに意識してワーホリでカナダに来たという日本人女性2名と話をしたことがある。彼女らの最終目的は、カナダ人と出会って国際結婚しカナダに永住することだった(結果は知らない)。

公家氏によると、恋愛・結婚相手探しでカナダに来たワーホリの女性の中には、出会いや婚活サイトに登録している人もけっこういるという。それで、自分が求めているカナダ人男性とのいい出会いがあって、生涯の相方を得て、国際色豊かな毎日を過ごし、可愛い子どもを育てて、めでたしめでたし・・・

・・・だと本当にいいし、実際そんな幸せな国際カップルも私は知っている。が、その一方で結婚は一筋縄ではいかないのはお察し(またはご経験済み?)の通り。もともと言葉の壁があって、相手とのコミュニケーションがちゃんと取れていないまま交際を始めた可能性もあり、「盲目」だった恋心が冷めて目が見えてきたころ、制度的な壁が目の前に立ちはだかることがあるのだ。

ひとつは「永住権」、もうひとつは「ハーグ条約」である。

カナダ人またはカナダの永住権保持者と結婚し、その相手が妻の永住権申請のスポンサーになってくれれば比較的スムーズに永住権を取得することができるが、それでも申請から取得まで1年半程度の待ち期間がある。

この記事が対象にしているカナダ人夫と日本人妻がカナダに住んでいるという状況では、この待ち期間中に関係が破たんし、夫が永住権申請のスポンサーをやめてしまうと、妻の滞在資格は観光ビザか、それがきちんと延長されていなければ許可期間を超えた違法滞在者の状態になってしまう。もちろん働くことはできないし、州の健康保険もない極めて不安定な状況に置かれることになる。これを知っていて「オレの言うことを聞かないとスポンサーを降りて、日本に強制追放してやる、と脅す男性も困ったことにいるんです」と公家氏。

また日本人婚活女子が国際結婚に日本人男性にはないものを求めるように、相手となるカナダ人の男性側にも、カナダ人女性とは違う日本人女性に偏見的な幻想—日本人女性は献身的に男性に尽くすなど—を持っていることから生まれる歪んだ力関係がそのような虐待的な関係を助長してしまうことも多いようだ。

永住権申請のプロセス自体もストレスフルだ。一時の気の迷いで結婚してしまったカナダ人のパートナーが申請プロセスを面倒に感じ、それで破たんする例もあるという。

そしてもちろん、海外にいることで日本の家族や友人からのサポートが受けられず、サポートネットワークがないと女性が孤立してしまうケースも多い。

妊娠、出産をしていればことはさらに複雑を極める。カナダも日本も「ハーグ条約」の加盟国だ。2014年に日本でハーグ条約が施行されて以降、カナダで結婚が破たんした妻が、夫からの同意を得ず子どもを不法に日本に連れて帰れば拉致とみなされ、裁判所から子供をカナダに戻す返還命令が出される可能性が極めて高くなった。妻は離婚して子どもを連れて日本に帰りたいのに、夫が同意してくれないことが多々あるのだ。かわいい子どもと離れたくないという理由で同意しない別居中の夫や元パートナーもいるが、妻への嫌がらせのためだけに同意しない夫がいるという。

そして、日本に帰国したいのに帰れず、親権争いや離婚裁判で精神的に疲弊し八方塞りの状況に陥り、JSSのドアを叩く女性たちに公家さんらは対応してきた。離婚後も共同親権になるのが主流であるカナダでは「(離婚しているとしても)母親、父親の両方が親の役割を果たすべき」という社会的基準が非常に強いため、日本人妻が裁判で単独親権を主張してもそれを得ることは難しい。結局、JSSやその他の機関からのサポートを受けながら、スポンサーに頼らず永住権を取得し、子供が成人するまで嫌々カナダに住み続けなければならないケースが多くなる。

公家氏は言う。「しっかり英語が話せて、生活力があれば、カナダで自立して生きていくというオプションが生まれます。やはり、資格やキャリアを持っている人は強いです。理想的な環境とは程遠い中で、子供を抱えながら、学校に行き英語やスキルを伸ばしていく人もいますが、これは簡単な事ではありません。」

日本からカナダへの永住者は年間1400人程度いて、その大半がカナダ人男性と結婚する女性だという。日本にいても海外にいても、理想のパートナーを見つける方程式はない。結局は、相手とバランスの取れた関係であるかどうかを最初から見極めようとする意識を持つことが大切なのだ。

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