Made in Canadaのイメージアップは首相のおかげ?

文・モーゲンスタン陽子

数年前カナダに住んでいたころ、こんなテレビコマーシャルがあった。カナダ人とドイツ人が、テレビでとある国際試合を一緒に見ようとする。二人の男性はそれぞれ椅子を持ってくるが、その椅子には飛行機の座席のように傍から引っ張り出せるテーブルがついている。さっとテーブルを引き出し優雅にビールを飲むドイツ人を横目に、カナダ人のほうはテーブルが引っかかって出てこず、ガタガタと椅子を揺らし、しまいにはビールもこぼしそうになる ——

愛国心の強いカナダ人でもこんな自虐ギャグを楽しめるほど、カナダ人の「カナダ製」に対する信頼はそれほど高くはなかったと思う。そもそも、「カナダ製」と聞いて思い浮かべる商品とはなんだろう。私にはケベックのメープルシロップくらいしか思い浮かばない。

実は先月、ドイツを基盤とする統計サイト、スタティスタがベルリンのダリア・リサーチの協力で行った品質イメージ調査MADE-IN-COUNTRY-INDEX (MICI) 2017 の結果が発表された。世界52か国、約4万3000人(各国とも2500人以上が回答)が49か国とEUを、その商品の品質に対する好感度で5段階評価。次に評価を数値化し順位決定。データは2016年12月~2017年1月に収集された。

インデックス100を獲得し堂々の1位に輝いたのはドイツだ。 日本はフランス・アメリカと同点8位でインデックス81。そしてカナダはなんと6位(インデックス85)で、日本より上だった。カナダに暮らす日本人のみなさんには仰天の結果ではないだろうか。

ランク付けは今回が初めてのようだが、調査ではさかのぼって12ヶ月間でのイメージの変化についても調べている。なんと、カナダ製品に対する評価は12ヶ月間に45%上がっている。カナダ・グースのダウンジャケットなどが人気のようだ。

今回6位につけたのは、どうやらトルドー首相の人気が関係あるようだ。CTVニュースが、ドイツのスタティスタの市場調査部長、ニコラス・ルーゼ氏に電話インタビューしたところ「過去12ヶ月でカナダと聞いて思い浮かぶことといえば、ジャスティン・トルドーだ」と答え、このイメージ向上に非常に驚いているという。

しかし、もう1つ驚くべきことがある。日本のイメージも同じく45%向上したのだ。これほど大幅に好感度を上げた国はこの2国のみだ。評価が上がった原因は何なのかと考えてみる一方で、Made in Japan の評価は12ヶ月前にはそれほど低かったのかと、意外だ。

ヨーロッパではそれほど知名度の高くなかったトルドー首相も、トランプ大統領就任後にかなり人気が出てきた。カナダの誇る人気者首相の効果がこんなところにも表れていたようだ。

(本稿は著者が先月『ニュースフィア』誌に掲載した原稿を改訂したものです)

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