Covid-19のワクチン注射によせて

文・サンダース宮松敬子

 世界で猛威を振るうCovid-19に対して、成すすべのなかった2020年の秋ごろから比べれば、今は世界の多くの国々が、自国民に抗ウィルス剤接種をする方向に進んでいるのは喜ばしいことである。

 とは言えそれぞれのお国柄、立場、社会的事情などによってその進み具合はまちまちであるし、ワクチンの種類も多数あり、何がどうなっているのか、また今後どのようになっていくのか・・・不安がぬぐえない人々が多いのはよく理解出来る。

 現在(4月半ば)カナダは、アメリカから輸入されるはずだったファイザー社のワクチンが、バイデン新政権の樹立で「アメリカ・ファースト」の方針を打ち出したために、当初の計画より大幅に供給が遅れている。

 例えば国の最西端のBC州について言えば、20年12月から始まったフェーズ1は医療関係者、長期介護施設の居住者などが優先され、4月からは生まれた年によってフェーズ2~3に移行され、今のところ問題なく接種が進んでいる。最終的にはフェーズ4が6月末に終了し、それによって18歳までの接種が終わることになる予定である。

 このように年齢によって順番が分かれていたのが、先月になって人と接する仕事をしている人たち30万人ほどにも施されることになった。

 その職種は、幼稚園~グレード12(高校生)までの教育スタッフ、チャイルドケアス関係者、レストラン業務関係者、食料品店勤務の人々、郵便局員、警察官、消防士、救急輸送関係者、各種検閲官、製造業労働者、国境をまたぐ輸送スタッフ等など多岐に渡っている。経済の活性化を願うのなら当然の成り行きである。

 筆者の廻りでも順調に一回目を終了した人は多いのだが、二回目は16週間後と公示されている。となると8月になるわけだが、一回目の接種から4か月も空けば、その効力は半分になるとか言われているものの素人には実情は分からない。

 手続きに関して言えば、とてもスムーズでオンラインの整備がきちんと整っており、そのサイトの更新日も記されている。必要に応じてクリックすることで、自分が何時接種を受けることができるか、またどのようなステップを踏むことで予約が取れるかなど一目瞭然なのだ。

 またインターネットなどへのアクセスがない人は、電話で申し込みをすることも出来るし、移民大国のカナダのこと、英語の出来ない人々への他言語サービスは日本語を含む12か国語で用意されている。

 筆者も何も問題なくネットで登録し、4月1日に終了した。桜はすでに散り始めているのに肌寒い「花冷え」の日であったが、指定場所のビクトリア大学の体育館に時間より多少早めに行き指示通り並んで順番を待った。良く訓練された若い人々(アルバイト?)が、額に体温計の器械をあてながらお決まりの質問をする。

 遠出や外国から戻ったか、咳、発熱など体の不調があるか等を聞かれ、すべて「NO」であればそのまま係りに誘導されて屋内に入り、10分ほど待たされて登録所で手続きを済ませた。

 その後はすぐに14,5人ほど並んでいたナースのデスクに行き、同じ質問を受けて注射をされすべて終了。最後のステップは、指定の場所の椅子に座り15~20分ほど自分で時間をチェックしながら待ち、体調に異常がなければ帰宅できるのだ。

 車を自分で運転して来ている人が殆どだったが、中には家族や友人に付き添われて来場している人もいた。

 

筆者がワクチン接種を受けたビクトリア大学の入り口

カナダと日本の感染者/死者数の比較

 ここでちょっと話をそらし、全く興味半分であることをお断りしたうえで、カナダと日本のコロナ感染者と死者数の単純な比較をしてみた。

 当然ながら、人口比に対する感染者や死亡者はあてにならないとは思うものの、何を持って、また何を基本にして、日々の統計が発表されるのかいつも不思議に思っているのである。

日本: 総面積:37万8000㎢/人口一億2500万人(92%は都市部に居住)

   感染者:50万6000人/死亡者:9369人 (4月12日現在)

カナダ:  総面積は9970、610㎢(日本の27倍)

     人口3200万人(日本の1/ 4)(80%は都市部に居住)

     感染者:106万7764人(日本の約2倍)/死亡者:23294人(日本の約2.5倍)

 これを見てある友人(ご自分の住むカナダ、母国である日本、また子供時代お父様のお仕事の関係でフランスに住んでいた)は、「過去一年ほど、この三ヵ国のニュースをくまなく追っていると、日本はとにかく世界中で検査数が異様に低いことが分かる」とおっしゃる。

 加えて「陽性者数も当然の様に低く、実際は公表されているものよりおそらく5倍から10倍の感染者数があっても不思議ではないと思うのです。東京五輪を主催する手前、あえて検査数を抑えているということもあるでしょうが、とにかく比較の対象が定まっていないのでヨーロッパや北米の状況とイマイチ、比べようがないのでは?」とのご意見を頂いた。

 尤もな話であると大いに頷いた。

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