テレビジャパン(TV Japan)という媒体 by サンダース宮松敬子

DSC02074今やTV Japanという媒体 によって、日本のテレビ番組が北米の多くの街で見られることなど、驚くことでも珍しいことでもなくなった。

例えばトロントの場合、ケーブルTVだと200以上のチャネルが受信可能とのことで、TVJapanもその一つと言うわけだ。ただしパッケージには含まれ
ず、別料金で支払う受信料は決して安くない。

私は仕事柄、インターネット以外からも日本のニュースを必要とし(さもなければ情報に疎い“大陸オバサン”になってしまう)、中でもアジアの国々に焦点を宛てたドキュメンタリー的な番組は、北米では見られない視点からのものが多いため、見逃さないように心がけている。

ただし気をつけなければいけないのは、番組の構成が「東洋偏重」かどうかと言う点で、それを見抜く鋭い判断力を持つことが大事である。

私は長期に渡る視聴者だが、最近周りの友人・知人たちを見て、このTVJapanに関して3つの面白い傾向があることに気付いた。

DSC020711つ目は、日本のTV番組に興味がなかったり、時間や高い受信料が無駄ということで見ない、と言う人たちで、特にワーホリ、学生、若い移住者に多いようだ。英語の勉強に来ているのにわざわざ日本語の番組を見る必要はないとか、インターネットの機能を駆使すれば、欲しい日本の情報は十分に得られると思っているからだ。

2つ目は、「自分はカナダ社会に溶け込んでいるのだから、そんなチャンネルを受信する必要はない」と思っている人たち。裏返せば「英語が分かるのだから」と自負しているとも取れる。

国際結婚している人に、より多くこの傾向が見られるように思う。細かい理由は他にもいろいろあるようだが、連れあいの日本語が(多少は出来ても)番組を十分理解するほどではないため、自分だけ日本の番組をみて笑ったり涙を流したりするのは気の毒。さりとて、番組中にいちいち英訳するのは面倒だから受信をしないのだそうだ。

それで不満がなければもちろん何の問題もない。ではそういう人は、こちらの政治・経済・社会の動きには詳しいのかと思えば、必ずしもそうとは限らないのが何か不思議な気もする。

DSC02072そして3つ目は、TVJapanしか見ないとする人たち。バックグランドはさまざまだが、家にいる限りテレビがonになっている人はかなり多いと聞く。時間が許す限り何もかも見るため、日本の政治、経済、エンタメ、芸能人のゴシップまで驚くほど知っている。

国際政治関係についても精通しており、最近ではウクライナやロシアの問題にも詳しいが、それはすべてTVJapanのニュースから得たものであるため、欧米の視点に関しては深い知識がない。

中には「『ためしてガッテン!』では・・・、『あさ一では』では」と、聞きかじった情報を友人たちにお裾分けしたり、また「ものすごく面白いから!」と去年人気を博した朝ドラの「あまちゃん」を、再放送を含め一日3回見ていたという人もいる。

こうなれば絶対的な時間不足のためか、興味がないためか、言葉が原因か定かでないが「今カナダの国会は会期中なのか?」「そこで何が審議されているのか?」「ケベック問題はどうなっているのか?」など等、TVJapanでは残念ながら(トロント市長ロブ・フォードの話題以外は)ニュースにならないカナダについての知識は薄いことが多い。

もちろんこの三つの特徴の狭間にいる人々は沢山いるだろうが、たかがTVJapanされどTVJapanと思いつつ、見聞きして知った結果を私の「独断と偏見」によって極めて非科学的な分析を行ってみたら以上のようになった、と言うわけである。

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