書評 Book review

「部活」はドイツにも無いらしい ~日独のスポーツ文化の違い~

2021年6月1日

文・鈴木典子 日本の学校の「部活」(部活動のこと)については、2018年2月と10月に記事を書いたが、先日朝日新聞の書評欄で興味を惹かれる本を見つけた。「ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(高松平蔵著 晃洋書房刊)だ。高松氏はドイツ在住ジャーナリストとある。 MORE

書評『多文化の街トロントの図書館で38年 日本人司書の記録』リリーフェルトまり子 著

2019年2月12日

文・モーゲンスタン陽子 私がリリーフェルトまり子氏に初めて出会ったのは2010年、国際交流基金トロント日本文化センターがブロア・ウェストのコロネードビルにあった頃だった。カナダ人作家、キャサリン・ゴヴィエ氏が、主任司書であったリリーフェルト氏を紹介してくれた。ゴヴィエ氏は、のちに日本でも出版されることとなる『北斎と応為』(原題The Ghost MORE

二年の歳月を経て翻訳本「希望の国カナダ・・・ 夢に懸け海を渡った移民たち」完成

2017年8月15日

文・サンダース宮松敬子 思い起こせばそれは三年程前の5月末のことで、カナダの中央に位置するオンタリオ州のトロント市から最西端のBC州の州都ビクトリア市に国内移住してから迎える初めての夏であった。乾期であるこの季節は、来る日も来る日も青空だが、暑過ぎることは殆どなく25~26℃位が平均気温で空気はあくまでも爽やか。言いようもなく清々しい日々であったことが忘れられない MORE

書評 小島慶子 『ホライズン』~海外在住の日本人女性の「村」を 描く

2017年8月2日

文・広瀬直子 見てみないふりをしていたものを、見せられた・・・。というのが正直な感想である。 『ホライズン』は、英語圏の都市(オーストラリアの西海岸と思われる)に住む日本人の女性―研究者の妻の真知子、商社マン妻の宏美と郁子、和食シェフの妻の弓子という、駐在員妻や移住者の妻4名―による語りを交差させて、彼女らの心理模様を繊細に描く小説だ。 MORE