トロントの夏 by 空野優子
7月になりトロントにもようやく夏がやってきた。ここの四季の中で私の最もお気に入りの季節である。
トロントの季節をざっと比べると、まず、冬はやたら寒いし、やたら長い。零下15度の日が続くこともたびたびある。秋は、特にドライブなどに出かけるときれいな紅葉が楽しめるが、春の新緑と同じく、見頃の時期はあっという間に過ぎてしまう。
大阪育ちの私の感覚では、ここの季節は11月から4月までの6ヶ月間が冬、4月の終わりにやっと春が来たなぁと思ったら、あっという間に気温がぐっと上がり、6月から9月の初めくらいまでが夏、といった感じだろうか。

カリバーナのパレード。写真:カリバーナ公式ウェブサイト(http://www.caribanatoronto.com)より
サマータイムを採用しており、また緯度が高いため、夏の間は夜9時を過ぎても外が明るいのもなんだか得した気分である。
それに加えてトロントの夏は多彩なイベントが目白押しである。5月末から8月いっぱいにかけては、毎週末いたるところでお祭りや野外コンサートが開かれ、祭り好きの私にとっては嬉しい。
イベントは主なものだけでも以下のようなものがある。
- プライド(LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)コミュニティの性の多様性を祝う祭りで、6月末から7月初旬にかけて開かれる。毎年恒例の日曜パレードのほか、コンサートなど多彩なイ
ベントが盛りだくさん。訪れる人は一週間で100万人にも上るとか。 - カナダデー(カナダ建国記念日である7月1日に各地でイベントが開かれる。ただ恒例の打ち上げ花火は日本のに比べると物足りない)
- カリバーナ(カリビアンコミュニティのお祭り。8月第一週末に行われるカラフルなコスチュームと音楽のパレードは120万人の観光客が訪れ大変な盛り上がりをみせる)
- カナダ・ナショナル・エグジビッション(通称CNE、8月後半にオンタリオ湖沿いの広場で開かれる移動式遊園地)

ダイクマーチで見かけたプライド仕様の市営バス
その他にも、多文化・多国籍のこの街を反映したアフロフェスト、サルサ祭り、テイスト・オブ・ダンフォース(グリーク街のダンフォースタウンでの祭り)、インディアンバザールなども、それぞれ個性的で楽しい。エスニックコミュニティ独自の食べ物、音楽、ダンスが競うように披露されて、通りを歩いているだけで飽きることがない。(ただこれらの祭りはエスニックタウンを歩行者天国にして開かれるため、夏の間は市内あちらこちらが通行止めになり、ドライバーにとってはやっかいである。)
トロントっ子の夏のもう一つの楽しみは、オンタリオのいたるところにある湖の湖畔でのキャンプ場やコテージに出かけること。キャンプしながらハイキング、カヌー、水泳など、一週間以上も電気なしの自然の中でのアウトドアを楽しむのも夏のカナダの醍醐味らしいのだが、こちらのほうはこれからの楽しみとしておくことにしたい。