耄碌(もうろく)、呆け、痴呆、認知症、はたまたディメンシア(dementia)

文・サンダース宮松敬子

カナダの南に位置する国の大統領が、就任の宣誓を行なってから早や一年になる。周知の通り実にお騒がせな人物で、一体何が真実で何が虚実なのか理解しがたく、未だに世界中がその言動に振り回されている。しかし異論なく誰もが認めることの一つは「自画自賛が大好きな人物」ということだ。

ツイッターを使って自分の功績を褒めまくる一方、前に言ったことと、今回言ったことにズレがあるなどは日常茶飯事。そんなことが重なれば、ただでさえ伏魔殿の政界を益々混乱に陥れ「もしや認知症の始まり?」と囁かれるののは当然である。1946年6月生まれの71歳となれば「何らかの症状が始まっているのでは?」と言われても不思議ではないし、「ある種の精神疾患あるのでは?」とも言われるが真実のほどは分からない。

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今は広く知れ渡っている日本語の「認知症」という言葉だが、これが日本で昔から使われていたという記憶はない。認知症を文学作品にした有吉佐和子の『恍惚の人』が大きな話題になった1972年ころには、ちょっとピントの外れたお年寄りは「耄碌、呆け、痴呆」等と呼ばれていたように思う。調べて見ると、やはりこの言葉が市民権を得たのは2004年とのことで、厚生労働省が公募によって決めて統一したとか。

だが注意しなければならないのは、「認知症」というのは病気の名前ではなく、まだちゃんとした病名が決まっていないいわゆる症候群のことを指す。その中で一番多いのが「アルツハイマー型認知症」であるが、他にもよく耳にするのが「前頭側頭型認知症」「レビー小体型認知症」等である。

ちなみに英語圏では一般的にディメンシア(dementia)と呼ばれるが、やはり欧米でもアルツハイマー型認知症に掛かる人の割合は多い。カナダやアメリカのアルツハイマー協会では「もしかしたら・・・」と思う人の為に症状チェックリストを提示している。

https://www.alz.org/national/documents/checklist_10signs.pdf

「仕事や社交の場に出なくなる」「話すこと、書くことが苦手になる」等いろいろの症状が書かれている。こうしたアクティビティに問題のない当サイトG8の若いメンバーたちに於いては、今も将来も心配は一切ないだろう。😉

とは言え、64歳以下の人が発症する「若年性認知症」も決して無視できないもので、症状としては高齢者のそれと違いはないそうだ。だが若い人には「認知症は高齢者の罹る病気」という思い込みがあるため、「まさか自分が!?」ということで発見が遅れることが多いという。発祥年代は40代後半から60代前半で、男性の方が率としては高いと統計に出ている。

関連のニュースはよくメディアに登場するが、1月9日付けのCanadianPress電に載ったある男性(60)の話は胸を打つ。

3年前に若年アルツハイマーと診断された時のショックは大変なものだったが、出来るだけ長く前向きに普通の生活を維持して行きたいと自分を奮い立たせた。萎える気持ちの中で何よりも辛かったのは、周りの人々の病気に対する無知から来る辱めだったと言う。

例えば癌や心臓病になっても、世間はその病人が即ダメ人間になったとは思わない。しかし認知症と診断された場合は、その時点からその人物はもう何も役立たない人間と思われてしまうことだ、という。病状は悪化するものの、最近はいろいろと症状を抑える薬も出ており今日が今日と言う事はないのにである。

ちなみに総人口に対する認知症有病率はカナダが1.7%、日本は4%となっている。中年になったら「明日は我が身」でありうるかもしれないことを肝に銘じたい。

 

追記:

この原稿を書き終えてすぐの1月16日には就任以来初のトランプ大統領の健康診断の結果が出た。メディアによると「過激な言動から一部で精神状態への懸念も指摘されているが、自主的に受けた認知機能検査の結果は満点だった」という。しかしこれも何処まで信用出来るのか疑わしい、と思う人も多いのではないか。

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