カナダの冬を初体験?!

文・空野優子

新型コロナウイルスは2020年秋に入ってまた感染が広がり、11月末からトロント周辺ではレストランや商店が閉まるロックダウンの状態に再度なり、クリスマス直後の26日からはこの制限がオンタリオ州全域に拡大された。

冬休みに入っても、当然旅行はおろか、ショッピングモール、博物館、体育館など、子どもを連れて行ける室内施設はすべて閉鎖。一緒に住んでいない家族、友人と室内で集まることも禁止なので、休暇中にできることが限られている。こんな状況の中、トロント在住15年目にして、予期せずカナダの冬の楽しみを初体験することになった。

カナダの冬のスポーツといえばスケート。スキーをする人も多いのだろうが、街中で簡単にできるスケートは広く一般の人に楽しまれているようだ。かくいう私は毎年冬の寒さに文句を言うばかりで、ウィンタースポーツを楽しむという発想はなかったのだが、ロックダウンを機に、挑戦することになった。

きっかけは、学校の遠足でスケートに連れて行ってもらったことのある小一の息子が、冬に入るや、スケートに行きたいと言い出したこと。気乗りはしなかったがカナダ人の友人に聞いてみると、ロックダウンの中でも屋外スケート場は解放されているという。

3日坊主になる可能性も考えて、とりあえず中古で皆のスケート靴をそろえ(子どもにはヘルメットも必要)、うちから車で5分のところにある市営のスケート場に出かけてみることにした。夫と上の子ども二人が滑り、私はサイドで1歳の子どもと見学していると、スタッフの人曰く、ベビーカーを押しながら滑ってよいとのこと。

早速靴を履いてベビーカーを押しながら滑ってみると、なんと楽しいこと。初心者の私は一人で滑るとなるとバランスが取れないのだが、ベビーカーと一緒だと、前につかまるものがあるからすいすい滑れて転ぶ心配がない。また運良いことに、12月にしては過ごしやすい温度で(0度前後だろうか)、滑っていてもそんなに寒くないのだ。

10分ほどしてベビーカーをのぞくと、1歳なる娘はすやすや眠り込んでいる。氷の上はすいすい動くので、座っているだけでもまずまず心地いいのだろう。子どもも大喜びであったが、予想外に私にとっても良い経験で、この後3日連続でスケート場通いをすることになった。冬休み中も天気が良ければ出かけられるのでありがたい。

今まで気にかけてこなかったが、調べてみるとトロント市内にいくつもスケート場があり、無料で開放されている。コロナの影響で今は原則予約制ではあるが、25人を上限に誰でも入れるようで、今のところ、うちの近くのリンクでは予約なしでも入れなかったことはない。

スケートのほかにも、今年はクリスマスイブに雪が降り、クリスマスにはそり遊びを楽しむことができた。この日も寒すぎず、風もほとんどないお天気で、ふかふかの雪の上を何度も滑ることができた。 災い転じて福をなす、という表現が適切かわからないが、コロナによる活動の制限がなければ、カナダの冬に屋外でスケートという発想はなかっただろうと思う。夏のロックダウンの時のように自転車で出かけたり公園で遊ぶわけにもいかないので、冬休みをいったいどうやって過ごそうかと思っていたが、スケートとそりのおかげで案外楽しく過ごせている。

とは言え、新型コロナが世界中に広がってからもうすぐ1年。カナダでも日本でも感染者数がなかなか減らない々が続いている。ワクチンの接種も始まった今、2021年が明るい年になることを願わずにはいられない。

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