日本のことを1分間英語で話してみる
文・広瀬直子
(下記は、6月2日に出版された『日本のことを1分間英語で話してみる』(KADOKAWA)の一部を抽出したものです)
変わる日本、変わる世界
この本の元となる原稿が最初に出版されたのは、2008 年です。2014 年に一度ある程度の改訂を経ていますが、今回のような大幅改訂をするのは実に 15 年ぶりです。「歌舞伎」や「茶道」など、伝統的なものは最初に書いた原稿から変更がない一方、変更した項目と文章からは、この 15 年間に日本が辿った変化の軌跡が見えてきました。

15 年前、自販機からはアルコール飲料やタバコが買える、と書きましたが、おそらく東京オリンピック前に街のクリーニング(?)があってこれら嗜好品を買える自販機を見かけなくなったのでその部分を削除しました。また、コロナ禍を経て街からずいぶんと減った「パチンコ」という項目も消去しました。ジェンダー平等の概念が普及したおかげで変更になった文章もけっこうあります。かつて「女性から男性にチョコを渡す」という習慣だった「バレンタインデー」の項目は削除。現在では、女性から男性に渡すと決まっているわけではないからです。
英語圏でも、ジェンダー平等のために変わったことがあります。今の大学生ぐらいの年齢層は she(彼女)、he(彼)という性別分けをする単語を使わず、they(複数形の「彼ら」ではなく「あの人」というひとりの人の意味)を使う人が増えているのです。
筆者は、コロナ禍や戦争など最近は暗いことが多いと思っていたのが、この改訂版を書いて、社会がポジティブに変化していることもたくさんあるんだ、と感動しました。普遍的な価値を持つ日本の伝統文化、そして世界に自慢できる日本のオタク文化。読者の皆さんはぜひ、それらを発信する仲間になってください。