ボランティア活動のススメ

文・斎藤文栄 

2026年は国際ボランティア年だそうだ。

なので、皆さんに聞いてみたい。「あなたはボランティアしていますか。」「それはどんなボランティアですか。」「そのボランティアはあなたにとってどのような意味がありますか。」

ボランティア活動とは、ILO(国際労働機関)の定義によれば、「無報酬の任意の労働。すなわち、組織を通じて、あるいは自身の世帯以外の他者のために直接行う活動に、個人が無報酬で費やす時間」というもの。私は国連ボランティアとして1年間ネパールに滞在したが、手当として渡航費用や生活費、家族手当などが支給され、離任時には少額ながらある程度の額が手元に残った。完全無報酬でなくとも、仕事の対価として報酬を期待していない活動は、ボランティアとしてカウントしてよいようである。

ボランティア活動はこのような国際協力から、災害や地元のコミュニティ支援まで、社会の欠かせない要素となっている。

OECD(経済協力開発機構)加盟国では、平均で3分の1の人々が月1回はボランティア活動を行っているという。(*1)組織に所属しボランティア活動を行った人の割合は、カナダでは、32%(2023年)(*2)、日本では、16.3%(2024年)(*3)となっている。

ボランティア活動に関するOECDレポートでは、日本の「自治会」が取り上げられている。あれもボランティアか、と改めて考えてみると、小さな頃から意外と身近なところに様々なボランティア活動が存在していたことに気づく。

私の実家は新潟で小さな商店を営んでおり、日々お客とやりとりをしていたためか、両親は商売以外であまり人と関わることを進んでやってこなかった。そのためPTAは全くといっていいほど関わってなかったと思う。それでも父は、地元のライオンズクラブの活動で河岸の清掃活動や街の見回りなどに行っていた。街の見回りなんて、年に3回くらい行っただけで地元の警察から表彰されたので、子ども達から揶揄われていたが、表彰状が額縁に入れられしばらく飾られていたことを思うと、父はボランティア活動が何らかの形で認められ嬉しかったのかなと今更ながらに考える。

PTAに関しては、むしろ友人の苦労話をよく聞いてきた。ほぼ当番制で拒否権がない、子どもの小学校でまわってくるPTAの飲み会の幹事が大変だとか、PTAの苦労話は尽きることがない。PTAは典型的なボランティア活動であるはずが、子どもの数が少ない地方では、強制感を伴う点が長年指摘され、成り手の少ない地域では試行錯誤が続いているという。(*4)

私は、20代初めに日本政府が主催する国際交流事業「世界青年の船」に参加し、2か月間、日本から中南米まで行ってまた日本に戻ってくるというコースを日本人100人、外国人参加者170人とともに船で旅したのだが、同期で乗船した友人は、その後、この事業の同窓会組織の会長になり、公務員の仕事の傍ら、週末ごとに日本国内のどこかで行われている国際交流事業に関わるべく飛び回っていた。彼のように何かボランティア活動を通じて特定のコミュニティに自分が培ってきたものを還元することができるのも、ボランティア活動の醍醐味だろう。

カナダ政府もボランティア活動を推奨している。(*5)人生の転換期において、ボランティアをすることが生活の質を上げ、地元のコミュニティに繋がるきっかけにもなるし、新たなスキルを獲得する手段ともなる。カナダでは、ボランティア経験を履歴書に含むことがプラスになることが多いため、若い人ほどボランティアに熱心だ。統計的にも、一番ボランティア活動をしているのは、15歳から24歳の年齢層だという。

また、ボランティアをすることは、住みやすい社会を創ることに貢献し、将来世代に価値ある遺産(レガシー)を残すことになるという。まさに、上記の友人のケースがこれに当たると言って良いだろう。

前に「早期リタイアのススメ?」でも書いたのだが、リタリア後のSlow-Go期間では、ボランティアに精を出す人も多い。リタイア、あるいはセミ・リタイアの人たちはボランティアをすることで社会とつながったり、新たな人たちに出逢うきっかけを期待している人が多く、かつ、ボランティア活動をしている人はしていない人に比べて生活の満足度が高いという数字が報告されている。(*6)

先日、お天気の良い6月の日曜日。トロントにあるNPO、ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)の主催するチャリティウォークに参加した。

JSSは日本語や英語でカウンセリングや高齢者、シングルマザーなど支援を必要とする人たち向けのプログラムを提供するNPOである。JSSは2024−25年度は、463人にカウンセリングサービスを提供し、延べ1887人がプログラムに参加しているが、こうした事業は、善意ある人たちの寄付やボランティア活動に支えられて成り立っている。年間60人以上のボランティアがさまざまな形で関わっている。チャリティウォークでも小さな子どもから大人まで50人以上の人たちが参加してくれただけでなく、寄付もしてくれた。

セミ・リタイアの状態にある私も、昨年から、理事という形でボランティアとしてJSSの運営に関わっている。トロントの日系コミュニティに貢献したいということもあるが、なによりも自分が、新たな人と出会うことで、トロントで生きていくための小さな幸せを見つけることに繋がっている。

冒頭の問いを私が聞かれたら、「ボランティア活動は、カナダでの私の生活をより豊かにするものです。」と答えるだろう。

JSSは、常に理事やボランティアを募集中だ。何かやりたいと思う方は、ぜひご連絡下さい。

JSS: https://jss.ca/

*1)OECD, Unleashing the potential of volunteering for local development: An international comparison of trends and tools, 5 December 2024

https://www.oecd.org/en/publications/unleashing-the-potential-of-volunteering-for-local-development_deab71bd-en.html

*2) Statistics Canada, Volunteering and charitable giving in Canada, 2018 to 2023

https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/250623/dq250623b-eng.htm

*3)令和7年度 市民の社会貢献に関する実態調査

https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/shiminkouken-chousa/2025shiminkouken-chousa

*4)新潟ニュースNST【特集】進むPTA改革進む”PTA改革” ボランティア制導入に…「革命だ!」 PTAのあり方の模索始まる、2023年2月16日

https://youtu.be/hXJOvqIEXx0?si=AGGWaSycrbzd0dxS

*5)Employment and Social Development Canada, Volunteer

https://www.canada.ca/en/employment-social-development/corporate/seniors-forum-federal-provincial-territorial/volunteer.html

*6)Statistics Canada, Formal volunteering by retired Canadians, 2023, Release date, April 24, 2026

https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/11-627-m/11-627-m2026018-eng.htm