Culture

2012年秋のトロント国際映画祭(TIFF)の思い出 by高畠晶 (2013年2月)

去年のトロント国際映画祭(TIFF)で、4か月の契約ではあるが初めて仕事を頂いた。Asian Programming Associateという肩書で、映画祭のプログラミングとは要するに映画の選考を行うことである。上司であるアジア映画のプログラマーはローマ在住のイタリア人女性である。「アジア映画なのになぜイタリア人?」とよく聞かれるが、実は彼女は中国語(北京語)がペラペラで『ラスト・エンペラー』の時はベルトルッチ監督の通訳をしたそうだ。もちろん中国映画だけではなく、日本や韓国などアジア映画にはとても造詣が深い。

仕事の内容としては、映画祭前は週に30本というノルマでDVDを観て、面白い映画があればプログラミングのチームに報告する。Read more

トロントの中華料理レストランで考える集団主義と個人主義 by 佐々木掌子 (2013年1月)

トロント滞在中、中華料理をいくつかの民族の人と一緒に食べる機会があった。

全員日本人の場合、私のまわりはこんな感じである。「何か食べたいものない?」「とりあえずチンジャオロースは絶対」「あんかけ系の何か」「あとはじゃあ適当に」。取りまとめるのが上手な人が、適当に前菜、主菜となるようなものを見繕ってオーダーする。決めるのが面倒だとコース料理になることもある。

所属していた研究所のメンバーと中華料理に行ったこともある。私以外は全員白人。ユダヤ人が多かった。

「掌子は何を食べたいの?」。出されたものを適当につまもうと思っていた私は、慌てて本気でメニュー探しに取り掛かる。

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35歳からの「英語やり直し」勉強法 by サンダース宮松敬子 (2012年12月)

日本の本屋に並ぶ英語本の多さには、誰しも一度や二度驚いた経験を持っていることでしょう。いわく「日本人のちょっとヘンな英語」「一駅一題 新TOEIC TEST 単語特急」「英会話一日一パターーン」などなど・・・。これは取りも直さず、日本人の英語熱がいつの時代も衰えを見せていないということに他なりません。これほど品揃えがあれば、自分の目的にあった本を選び出すことは容易と思われますが、数が多いだけに、返って惑うということは大いにありえます。

そんな中でこの秋に出版されて大きな反響を呼んでいるのが表題の本です。

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日本のグレーゾーン、カナダのグレーゾーン by 広瀬直子(2012年10月)

前回7月に筆者が書いた記事「自分の呼ばれ方を自分で決められるということ」では、結婚という一見白黒はっきりしていそうな制度でも、カナダではグレーゾーンがいかに大きいか、について述べた。

カナダで家族のかたちの多様化が進んでいることは、2011年の国勢調査の結果にも現れた。「夫婦と子ども」という、かつて典型的とされた家族が減る一方で、事実婚、同性婚、子どものいないカップル、一人暮らしの「おひとりさま」が増えているというものだった。

しかし。

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ポケモンの偉大さ(?)by ケートリン・グリフィス(2012年9月)

私にとって「ポケモン」とは「数年前に流行ったアニメで「ピカチュー」ってキャラクターがいたな」というぐらいの知識しかなかった。

しかし、最近この「ポケモン」が想像以上に海外への日本文化貢献につながっているということに気が付いた。

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Seven Years of Devotion to Leonie: Interview with film director Hisako Matsui (Keiko Miyamatsu Saunders)

 

“A challenging spirit can make a dream come true”

Thirteen Japanese films will be shown at the Toronto Japanese Film Festival starting June 7th for two weeks. All films are premiering in North America for the first time and many are masterpieces which have received awards from film festivals in Japan. The scheduled screenings include historical and contemporary dramas, comedies, animes, and documentaries.

Out of the thirteen films, Leonie has been attracting a lot of attention as the only movie featuring a non-Japanese actress directed by a Japanese woman. Leonie is the story of Leonie Gilmore, an American who was the mother of Isamu Noguchi (1904-1988), the internationally acclaimed sculptor. (His father is the Japanese poet Yonejiro Noguchi.)

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映画監督 松井久子インタビュー by サンダース宮松敬子―7年の歳月をかけた 「レオニー」への篤い想い (2012年7月)

 

チャレンジ精神で夢を実現することの大切さ

トロントの日系文化会館で6月7日から2週間にわたって開催されるToronto Japanese Film Festival(TJFF)では、13本の日本映画が上映される。時代劇、現代ドラマ、コメディ、アニメ、ドキュメンタリーなど日本の映画祭で各賞を受賞した傑作や話題の作品は、いずれも北米では初上映。

中でも唯一、日本人以外の女優が主役を演じる『レオニー』は、女性監督ということもあり注目度の高い作品だ。これは、世界的に名声を博した日米の血を引いた彫刻家、イサム・ノグチ(1904〜1988年、父親は詩人の野口米次郎)の母親、レオニー・ギルモアの物語である。

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大盛況に終わったトロント日本映画祭 by 高畠 晶 (2012年7月)

6月21日に第1回トロント日本映画祭(Toronto Japanese Film Festival – TJFF)が、岩井俊二監督の『Friends After 3.11』をクロージング映画として、2週間のイベントに幕を閉じました。

日系文化会館(JCCC)で行われたこの映画祭は、『八日目の蝉』を皮切りに、日系コミュニティに人気のある侍映画の『一命』、家族向け映画『忍たま乱太郎』、アニメーション『Colorful』、感動ドキュメンタリー『エンディングノート』など、バラエティに富んだ計13作品を上映し、そのうちの3作品はチケットが売り切れになるなど、大盛況に終わりました。

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英語帝国の異端児?カナダ by 広瀬直子 (2012年3月)

最近、日本の出版物で時々見る言説に「大切な日本語と日本の文化を守るために、日本人は英語学習を今より控えるべきだ」というものがある。

そうでしょうか。

「英語帝国」という言葉をご存知の読者もいらっしゃるだろう。世界にあまたあるそれぞれにすばらしい言語の中で、英語だけが強大な権力をもってしまった不均衡を告発する比ゆ表現であり、もちろんそんな帝国は実在しない。
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Perspective Canada開催 Ⅱ by 高畠晶 (2012年3月)
企画が通った後、 上映会の概要を決めました。タイトルはTelefilmが通常海外での展開に使用しているPerspectiveCanadaになりました。大使館やTIFFCOMにも企画が通った旨を告げたところ、とても喜んでいただき、できる限りの協力はします、というお返事をいただいたので、非常に心強く感じました。 Read more

 

Perspective Canada開催 Ⅰby 高畠晶  (2011年12月)
10月24日から26日までの三日間、東京国際映画祭(TIFF)の併設マーケットとして毎年秋に開催されているコンテンツマーケット、 TIFFCOM、が六本木ヒルズで開催されました。そこでカナダの映像や音楽業界の制作や国内外でのプロモーションなどの支援をしている政府機関である Telefilmとカナダ大使館が主催で、Perspective Canadaというカナダ映画の上映会と、TIFFCOMでのブースの設置が行われたのですが、私は現地コーディネーターとして派遣されました。  Read more

 

ネイティブスピーカーの英語習得 by 空野優子 (2011年11月)
私はトロントにあるAlexandra Park Neighbourhood Learning Centreというコミュニティセンター(日本でいう公民館、図書館、市民体育館、市民プールを全部一緒にしたような施設)の成人向けの英語識字教室で教えている。
生徒さんのバックグラウンドは様々だが、たいていの人は英語を第一言語として生活していて、諸々の事情により義務教育を終えられず、大人になってから英語の読み書きを勉強しなおそうとやって来られる。Read more

 

カナダ英語のススメ by 広瀬直子  (2011年11月)
最近あるプロジェクトで、「英語のツワモノ」である日本人を対象にアンケートを行った。回答者は私の人間関係からカナダ在住日本人が多いのだが、回答を得た30名弱のうち4人が「(カナダ以外の)英語方言がわかりにくいことがある」と答えたことが私の目を引いた。
回答者がカナダ在住であることだけが理由ではないだろう。実際、英語ノンネイティブスピーカーにとって、いや、ネイティブスピーカーにとってもカナダの英語は明瞭でわかりやすい、平たく言えば「きれい」なのだ。Read more

 

英語圏トロントの「エイゴ」by 広瀬直子  (2011年10月)
ある日、私が 買い物をしていたトロントのスーパー(中国系向けのスーパーではなく白人のお客が多いところ)で、中国人のおばちゃんがギョウザの試食販売をしていた。英語ネイティブのカナダ人がたくさん買い物をしているスーパーで、おばちゃんはこう叫んでいた。

トロントにはいくつも中華街があり、アジア系の食材は驚くほど豊富

「China dumpling, 2 for 5 dollar, bely good, bely chip.」(中国、ギョウザ、2つ5ドル、とってーもおいちいね、とってーもやしゅいね)。
この日本語訳はうますぎると思えるほどの下手な英語だった。China でなく、形容詞のChineseを使うべきだし、dumpling, dollar には複数の s が付くべきだし、おばちゃん、very の発音ができなくてbeli、cheapの発音ができなくて、chipと言っている。
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移民の街・トロントの適応性 by 空野優子 (2011年10月)
移民の国カナダの中でもトロントは移民の移住先の第一候補であり、その人口に占めるカナダ国外で生まれた人の割合は今半数を超えているとのことである。
人口の半分が移民、しかも最近の移民の大多数はアジア、アフリカなどの非英語圏の出身と聞くと、そんなんでどうやって都市として機能するの?と疑問をもたれる方も多いだろう。少なくとも私はこっちにやってくる前にその事実を知っていたらそう考えていたに違いない。
実際暮らしてみると、まあとりあえず何とかなっている、というのが単刀直入な印象である。Read more

 

トロント映画祭(tiff) by 高畠晶  (2011年10月)

トロントのダウンタウンにあるtiff本部

毎年恒例のトロント国際映画祭が、今年も無事終了した。今回は、日本の某配給会社の買付けのためのコーディネーション業務を行い、毎晩12時過ぎに帰宅し、6時過ぎに起きて仕事に向かうという、体力の限界を試すような10日間を過ごした。
基本的にはセールス会社とミーティングを行い、余った時間で映画を観てレポートを提出する、というようなことをしていたのだが、日本の映画配給会社で働いていた時の映画祭出張と同じ様な内容だったため、戸惑うことなく仕事をすることができた。
また、日本からの知り合いのバイヤーや、昔映画祭の度にミーティングをしていた海外のセールス担当者に久々に会うことができ、忙しいながらも楽しい時間を過ごせた。Read more
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