カナダ英語のススメ (広瀬直子)

最近あるプロジェクトで、「英語のツワモノ」である日本人を対象にアンケートを行った。回答者は私の人間関係からカナダ在住日本人が多いのだが、回答を得た30名弱のうち4人が「(カナダ以外の)英語方言がわかりにくいことがある」と答えたことが私の目を引いた。

回答者がカナダ在住であることだけが理由ではないだろう。実際、英語ノンネイティブスピーカーにとって、いや、ネイティブスピーカーにとってもカナダの英語は明瞭でわかりやすい、平たく言えば「きれい」なのだ。

カナダのテレビ局が、同じ英語圏のスコットランドやオーストラリアで取材をして、現地の人のなまりが強いので英語の字幕をつけていることがある(本人は複雑な気持ちだろう)。しかし、英語圏のカナダ人の話に、他の英語圏で字幕を付けなくてはいけないことはまずないはずだ。(ただし、フランス語が母語で英語のなまりの強いカナダ人ではありえる話で、ケベック出身のジャン・クレティエン元首相の英語にはときどき英語字幕が付いていた)

私は「アメリカとカナダの英語は同じ?」という質問を日本やヨーロッパの人からよく受けるが、答えは「NO」だ。歴史も制度も違う国からは、自ずと違う言語が醸成される。カナダでは綴りは主にイギリス式が用いられ、アメリカのマスコミの影響で発音は若年層ほどアメリカ化する傾向があるものの、イギリスらしさも残る。カナダ独自のイントネーションや、数は少ないが、つばなし帽子の ”tuque” など独自の表現もある。

さまざまなアメリカ方言の中でもカナダ英語に近いとされるのが「北米標準英語」の基盤とされる中西部の英語だ。では、カナダ英語とアメリカ中西部英語はどのぐらい異なるのか?私は京都の出身なので、関西出身の人には「京都弁と大阪弁の違いぐらいちゃいますか」と答えることにしている。あくまでも私個人の感覚的なものだが、その地方出身の人にとってはずいぶん違うのだが、他の地方の人が聞くとわからないことも多いぐらいの違い、という意味だ。

アメリカ中西部英語
とカナダ英語の違いで、よく気づくのが「ア」と「オ」系の発音。アメリカ人が”hot”と発音するとカナダ人には “hat” と聞こえることがある。カナダでは、”hot” はカタカナの「オ」に近い音で発音するからだ。

カナダの全国紙、『The Globe and Mail』のジャーナリストが、確か数年前だったか、このアメリカ人のhot、dog、shock (ハット、ダッグ、シャック)発音を “That obnoxious American pronunciation” (あの不愉快なアメリカ発音)と呼んでいた。カナダで評判が悪いようだ。

カナダ英語がアメリカ英語に比べて明瞭だとされるもう一つの理由に、”Internet”、”printer”などの発音の t 部分をスリップして”innernet(イナネッ)”、”prinner(プリナ)などと発音する度合いがアメリカより低いことがある。

もちろん、世界で2番目に広い国土を持つカナダのこと、国内でもいくつかの方言があるが、イギリスやアメリカに比べると統一されている方だ。アメリカのテレビやラジオ局でさえ、カナダ人のアナウンサーを好んで採用する。世界のインターナショナルスクールや英語スクールでは、その英語のためにカナダ人の先生が好まれるという。

日本人の皆さんにカナダ英語をおすすめします。

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