マリファナ解禁を待つカナダ

文・サンダース宮松敬子

カナダの西海岸ブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)は、国の東側に比べると良くも悪くも人々がリラックスしておりのんびりムードである。人々は「ロッキー山脈を越えると全くカルチャーが違う」と良く口にする。

これ程大きな国となればそれは納得できるし、国内で一番気候が温暖であることも影響しているのだろう。中央政治に関心がないと言うわけでは全くないのだが、確かにオタワで何が起ころうとも、ここはここと言った感じを受けることがままある。

そんな我が道を行くBC州では、マリファナや刺青と言ったカルチャーを受け入れる雰囲気がとても強い。今カナダでは、医者からの許可がありメディカルの一旦であれば購買可能だが、一般人がタバコと同様にレクリエーションのために喫えるという自由はまだない。

2015年10月の連邦政府の選挙で自由党党首、一ヶ月後には首相になったジャスティン・トルドー(46 )が若者からの圧倒的な支持を受けた一つは、彼がマリファナを所持することで処罰されるようなことは無くしたいとの公約を掲げたからである。

だがそれから2年半経った今も公に立法化されてはいない。今年二月には成立するかも・・・との噂もあったもののそれは成らず、現時点では8、9月ごろまでずれ込むと予測されている。もちろんもしこの法律(C-45 )が通過すれば、カナダのどの州/準州にも適用されるわけだが、州/連邦の間での税の配分なども大きな課題であるし、細部に渡って詰めなければならない問題が多々ある。

値段は平均1ℊ/$10.00Cadと言われているが、もちろんこれは質の良し悪しや種類によっても相違があり、また州・準州ごとに値段が異なる。

だが近い将来レクリエーションナル・マリファナに「Go」が出ても規制はいろいろとある。例えば職場、公園、遊園地、バス停、ドア・窓・空調設備から7m以内は禁煙等などで、年齢も19歳以下はタバコ同様ご法度である。やはり一番気を揉むのは子供達への影響である。

今月20日(金)はBC 州の公立校は「Professional Development Day=教師がスキルアップのトレーニングを受ける日」と呼ばれる休日であるが、この日はたまたま「マリファナ・デー」と銘打ったお祭りの日と重なる。ビクトリア市では毎年庁舎前の広場に、関連のコスチュームを思い思いに着た喫煙愛好家や支持者が大勢集まる。多くの若者は刺青もしており、賑やかにお祭り騒ぎを繰り広げるのだ。(ちなみにジャスティン・トルドー首相も左肩に刺青がある)

早々とこの日のイベントを察知している教育省は、すでにお達しを出し、当日の子供の行動に親や保護者が注意するように呼び掛けている。

すでに20年ほど前になるが、まだカナダでも「マリファナ=悪」と言った世論がまかり通っていた頃、私はトロントのサマーサイドに住む先天性てんかんの持病がある30代の男性を取材したことがある。彼はアパートの自室で数本のプランツを栽培していたのだが、定期的に警察の押収があり、その度にメディアを賑わしていた。水と電気の使用量が急激に上がること、独特の匂いが漂うことで周囲に察知されたという。彼は「医者にどんな薬を処方されるよりマリファナを吸うのが発作を抑えるのに一番効果がある」と言っていた。

彼にはすでに薬用として公に処方されてはいるだろうが、国を挙げてレクリエーションとして喫煙できることが立法化されるのを待つ動きに、今どんな気持ちでいるだろうか。

 

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