ホワイトハウス今昔

文・サンダース宮松敬子

一体何が真実で何が虚偽、虚妄なのか昨今の世界情勢はその判断に心底苦しむ。このの混乱をもたらしているのは、隣国のゴルフ焼けした通称「柿顔爺さん」ことトランプ大統領が原拠であることに間違いはない。

しかし政治と言うのは、どの国のどの政策をとっても国民全部が100%満足することなどはありえない。その指導者のアイディアによっていろいろな意味で利益をこうむる人たちは、たとえ反対する人が多数いてもニコニコ顔で擦り寄り声高に賛成の意を表明する。

それが常ではあるものの、大統領の場合はその政策が余りにも極端であり、一番の大問題は驚くような関税を数知れない国々に導入し、記者団の前で満面の笑みを浮かべ得意顔をする。かと思えば一旦決定した方針を翌日にくつがえいすことも度々するため、この大国を取り巻く国々は右往左往を余儀なくさせられている。

カナダも標的

もちろんカナダもその標的になっており、やれカナダを米国の51番目の州にしろの、オンタリオ湖の名称をアメリカ湖にしろのと訳の分からないことまで言い出す始末。

経済面においては、つい最近特定のカナダ製品に対して50%の関税を課したほか、カナダ製自動車に対する措置も講じ、理由として米国での生産や投資を促すためであると説明。堪忍の緒が切れたカナダのカーニー首相も米国からの輸入品に対し厳しい報復関税を課すなど二国間の伝統的な同盟関係に、深刻かつ否定しようのない亀裂が生じている。

噂によるとこの「いじめっ子」のような処置を講じる大統領の頭の中には、以前NYで不動産業を営んでいた頃、銀行に融資を頼んだところ色よい返事を貰えなかったことがあり、以来エスタブリッシュメントの象徴である銀行家には嫌悪を抱いているとか。さもありなん、首相は過去に英国やカナダの中央銀行の総裁であったのだから。

新路線

だが首相は米国への経済依存度を下げる施策として、9 月中旬にフランスで開かれた欧州連合(EU)の施政方針会合で演説し彼らとの連携を強化する方針を打ち出した。これに対しウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「準加盟(associate membership)」という地位の創設を提案した。

カナダ政府の保守党などは、首相の案に賛成しながらも「我々は欧州と自由貿易を行い、協力関係を築くことを望んでいますが、法律や税金、そして移民政策に関する独立性と主権を放棄することは決してありません」と言い、インフレに苦しむ国民への配慮にもっと重点を置くことも強く求めている。

今後は容易でない過程を踏まなければならないだろうが、一般国民の日常生活に即どのような影響をもたらすのか注視したいという意見が各方面から続々と出ている。

ホワイトハウスの外観

話をホワイトハウスに戻せば、私個人としては現在大統領が提案するこの建物の周辺の改装にとても強い懸念を抱いている。

この建築様式は左右対称の新古典主義様式と呼ばれるもので、8年掛かりで1792年に完成したが英米戦争で焼失。その後は3年程で再建し、以後は大統領が変わるごとに何回か部分的に改築されているという。

そのため大統領も現在いろいろと手を加えているのだが、中には最高裁の待ったが掛かっている物もあることに立腹し「自分はホワイトハウスの賃借人ではなく、米国民によって選出された大統領である。と言うことはこの敷地を改修、修繕、安全確保、美化などをする権利も含まれている。歴代の大統領はその度に議会やその他誰の許可も必要としなかった」と言い放った。

まず実行に移したのは大統領執務室で、至る所に金色でアクセントを施しご満悦。3月半ばには就任直後の高市早苗首相が訪米の際もここで記者との質疑が行われた。もみ手をせんばかりに満面の笑みで擦り寄りる首相に気をよくしてか、場違いの冗談(真珠湾奇襲)さえもポロリ。美意識のかけらも感じられないインテリアは、貧農出身ながらその知恵と行動力で天下人になった豊臣秀吉を彷彿とさせる。

ローズガーデン 

だがその中でも私はローズガーデンの改修と言うニュースを耳にした時には心底驚嘆した。と言うのがすでに50余年も前になるのだが、素敵に整備されたこの庭を自身の目で見ていたからである。ウォーターゲイト事件で失脚したR・ニクソン前大統領の娘が、事件以前にここで結婚式を執り行った庭でもある。

2025年6月初旬にローズガーデンの工事は開始された。

その時私はNYのフラワーデザインスクールを卒業し、Washington DC市内の一番大きな生花店(Geralis Florist)でフラワーデザイナーとして働いていた。店主のGerlis氏がホワイトハウス、連邦議会議事堂(キャピトル・ヒル)、その他の政府機関へ芸術的なフラワーアレンジメントや装飾を提供していたため、ホワイトハウス内にある常設の

花屋のチーフがある日Rose Gardenの隅々まで案内してくれたのだ。今は昔の物語であるが、あの緑したたる芝に調和した咲き乱れるバラの花々を今でも忘れることが出来ない。

National Press Clubをかたどった花輪作り(右が筆者)

何はともあれ、大統領の一挙手一投足で猫の目のように変わる世界情勢であるが、11月3日の中間選挙の結果を固唾を飲んで見守る人は多い。だが「政治(選挙)は水物」と言う言葉もあり、今はその日を待つ以外はない。

9月20日 記